新大学入試の民間試験導入はマイナスでしかない。

2018年6月14日 0 投稿者: english-otter

 

2021年から大学入試が変わるね。

センター試験が廃止され、しばらくは、今までのようなマークシート試験と同時に民間試験を受けなければならなくなる模様だよ。

新大学入試 民間試験活用で3つの案 国立大学協会

 

入試委員会委員長は

グローバル化が進むなかで、話す、書く力も含めた英語の4技能を問うことは非常に重要だと考えている。今回の方針を参考に、各大学ごとに主体性をもって詳細を決めてほしい

といっているよ。

ぼくはその意見には大賛成だよ。4技能試験化には賛成だ。

でも、4技能化において英検やTOEICといった民間試験を導入するのはいかがなものかと思う。というか、あまり深く考えていないんじゃないかとさえ思っているよ。

今回は、民間試験導入の是非について考えてみよう

関連記事だよ→大学受験の英語4技能化の批判もあるけれど、賛成の立場をとってみる

1.どの試験を採用するのか

1.1.TOEICでは大学に必要な英語力を測れない

民間試験といってもたくさんあるね。英検からTOEIC・TOEFLなど、有名どころをとっても複数受験した人は多いんじゃないかな。

で、そのうち英語成績提供システムの参加条件をみたしている、つまり大学入試に使われる可能性がある資格・検定試験は7団体24資格

 

どういう採用基準だったかは不明だけど、試験一つ一つを点検したわけではないように思う。

というのも、そのなかにTOEICが入っていたんだ。

 

たしかに早稲田大学人間科学部など、TOEICスコアを入学資格として考慮している私立大学はある。(同大文学部・文化構想学部ではTOEICは対象でない)

しかし、これを大学入試として扱う意味が分からないよ。

 

TOEICの正式名称は『国際コミュニケーション英語能力テスト』。つまり、英語でのコミュニケーション能力を測るのが目的の試験だ。

受験したことがある人ならわかるけれど、問題の内容が大学入学者向けではないことが多い。

 

例を挙げれば、わが社の売り上げが何パーセント上がったとか、旅行会社からの広告だとか、飛行機が遅れたとか、同僚とのチャットとか。

こういう問題の試験の点数を入社試験で加味するのならわかる。実際にビジネスをしていると外国のクライアントからメールをいただくこともあるだろうし、海外の空港で飛行機が遅れることもあるだろう。(リスニングの対話者2人(あるいは3人)の国籍が必ず異なるのは変だと思うけれど)

 

でも、大学時代にそういう能力を使う人はどれだけいるだろうか?

大学・大学院は言うまでもなく、(少なくとも建前では)学問をするための組織だ。となれば、そういった場で必要な英語とは、『学術論文を読む(あるいは書く)』ための英語だ。

大学院に行くことを考えれば、何か論文を発表する際に英語で発表し、かつ英語で質問される場合がある。だから、そういう場合に備えて四技能自体には反対しない。

東大や京大の入試・あるいはセンター試験の英語では、700~1000字程度の読解問題が出題される。これは、そういった論文をよむ素質があるかどうかを測っていると考えられるね。

 

では、TOEICにそういう問題があるかといえば、だ。

つまり、TOEICのような、大学生として必要な英語力は測れない試験が大学入試で採用されるかもしれないんだね。

 

 

文科省の偉いかたがたには、実際にTOEICや英検を受験してみることをお勧めするよ。

1.2.目的が違うから、いろいろ試験がある

そしてもう一つ言いたいことがある。試験にはそれぞれ目的があるということだ。

 

実際に受験するとわかるけれど、TOEICと英検とは、同じ英語試験でも内容やレベルが全く違う。

たしかに、英語以外の知識・技能が要らないという点では同じ『英語力』だし(英作文・スピーキングを除く)、英検1級取ってTOEICで400点しか取れないということはないけれど、それぞれ特徴がある。TOEICは雑誌の記事や求人情報を読解するのに対し、英検1級や準1級ではややアカデミックな文章も出題される。

 

となると、『英検1級とTOEIC900どちらを高得点とすべきか』のような議論は当然起こる。

でもこれは、例えるなら『芥川賞と直木賞どちらがすごいか』みたいな話で、タイプの全く違うテストに無理やり優劣をつけることになる。

 

文科省が作成した各試験の点数とCEFR(英語力)の比較表も、結局は「英検合格者のTOEIC平均点はいくらです」のような計算で導いているに過ぎない、論拠としては弱いものだ。

 

 

こういった、タイプの異なる試験の結果をどう処理するか、文科省は考えているのかな?その点が見えてこないのが極めて残念だよ。

 

2.民間試験導入で広がる格差

2.1.民間試験はお金がかかる

システム的な問題だけでなく、もう一つ心配しているのが、お金の問題だよ。

もし文科省が民間試験を採用するならば、英検はほぼ間違いなく選ばれる。というのも、高等学校卒業程度認定試験(高認・旧大検)が英語の単位免除の条件として、英検準2級取得を挙げているからだ。

あとは、TEAPかな。大学教育を意識して作られた試験だから、採用される可能性は高い。

しかしこういった試験は、無料とはいかない

 

例えば英検2級は5800円、早稲田大学や上智大学で採用されているTEAPは15000円(4技能パターン)の受験料がかかる。

もしこれらのテストが採用されたとすれば、これだけの金額を、大学進学希望の子を持つ家庭は負担しなければいけない。

 

ただでさえ、家庭の経済格差と学歴格差の相関が問題視されている。日本の大学は、国立でさえ、ヨーロッパの大学と比べて高い。というか北欧では無料

民間試験を軽率に導入し、大学入学のためによりお金が必要となれば、貧しい家庭に育った高校生が進学をあきらめるケースが増えるだろう。

 

現在、日本の大学進学率は54.8%.

韓国が93%、アメリカが86%、ドイツが66%というのと比較すると、高いとは言えない。

(参考サイト https://www.globalnote.jp/post-1465.html

日本の大学進学率は上昇しているそうだけど、もし民間試験導入などによって家庭の負担がふえるとすれば、上昇に歯止めがかかるんじゃないかな。

 

日本の国力を維持あるいは上昇させるためにも、民間試験導入には慎重になるべきだと思うよ。

 

 

まとめると、

国立大の英語入試民間試験導入は、大学教育に適した英語力を測れる可能性が低まり、論文を読めない大学生の増加につながる恐れがある。また、受験料が大きな負担となり、大学進学をあきらめる高校生が増えるかもしれない。こういう問題はスキルのある大学生の減少につながり、10年、20年先の日本の国力衰退につながるおそれがある。

 

今回はここまでだよ。

いろいろ意見はあると思うけれど、文科省の偉い人がこの記事をよんで考え直してくれることを期待しているよ(^●ω●^)