はいどうも、カワウソだよ。
世の中には、『結果を出した人の言うことは全て正しい』という考えがある。
言葉に出していなくとも、無意識にそういう考えに基づいて行動している人は多いのではないかな。
実際、例えば本屋では、『何か結果を出している』人の勉強法に関する本は多い。
「東大式○○勉強法」「東大○○」って本が本屋のビジネス書コーナーにたくさんあるのもその一つだろう。
東大式勉強法に限らず、ほかにもいろんな例がある。
英語の勉強に限って言っても、
「英検1級の語彙で満点とった旧帝大首席合格者の勉強法ならば絶対だ」
「英語の偏差値を20上げた純ジャパバイリンガルは正しい!」
こう思っている人は多いのではないだろうか。
実際、上の主張の元ネタとなっている人はツイッターフォロワー数がそれぞれ1200人と2000人(2019年9月現在)と多い。
しかし、東大式勉強法にせよ、純ジャパバイリンガルの勉強法にせよ、彼らの勉強法を実践したところで、成功する確率が格段に高まるわけではない。
むしろ、そういう人達の勉強法がかえって逆効果になる可能性だって十分あるんだ。
今回は、結果を出している人の勉強法を真似る際になぜ注意が必要か、そしてどういう勉強法を実践すればよいかを書いていくよ。
『あの人の勉強法』は誰にでも当てはまるわけではない
『その人がやっていただけの勉強法』かもしれない
なぜ『あの人の勉強法』をまねても上達する可能性は高くならないのか。
結論から言うと、『あなた』は『その人』ではないからだ。
どういうことか。
例えば、以下のようなツイートがある。
単語暗記は短期間で集中するよりもダラダラ眺める方が絶対に正解。単語に苦手意識があり、必死で覚えようとする真面目な人ほど一気に覚えようとするから自分の容量の無さに絶望して単語暗記をやめてしまい、いつまでも覚えられないというような皮肉な事態が起こる。
— ℃asiss カシス@北水の悪魔 (@eitangoshounen) September 6, 2019
このツイートの主は、北海道大学水産学部を首席で入学し、英検1級の一次試験リーディング大問1(語彙)で25問全問正解したことのある人だ。
経歴からすると、彼の勉強法は一見正しそうだね。
しかし、英単語を含む単語暗記は、短期集中の方が圧倒的に効果がでていることが、イギリス・ケンブリッジ大学の調査で明らかになっている。
(くわしくはこちらの記事に書いている)
すなわち、カシスさんは効率的でないと科学的に証明されている勉強法で成功し、それをオススメしているわけだ。
カシスさんがその勉強法で効果があったのは、単にとてつもない記憶力があったとか、時間をめちゃくちゃかけたからとか、そういう理由がある。決して勉強法のおかげではない。
脳のスペックの高さやコストのおかげで効果を出したのに、それを『この勉強法のおかげで合格した』などと解釈する人がいることをわきまえておこう。
上の単語暗記法に関して言えば、長期だらだらで結果を出しているカシス氏が短期集中勉強に切り替えると、もっと多くの単語を覚えることができるかもしれない。
(実際、たとえばカシス氏は単語暗記には2ヶ月はかかるといっているが、僕自身は科学的に正しい勉強法で1ヶ月で3000語の英単語暗記に成功している。)
そんな、効率の悪さに気付いていない、単に本人がハイスペックだったからたまたまうまくいっただけの勉強法を他の人が実践したところで、うまくいかないのは当然だよね。
『気持ちいいだけ』の勉強法かもしれない
もう一つ、人気のある勉強法は、単に気持ちの良いだけの勉強法、楽なだけの勉強法ある可能性がある。
上で挙げたカシス氏の単語勉強法はその典型的な例だ。ざっとダラダラ眺めるだけで覚えられる、その簡単さが人気を呼んでいるのだろうと思う。
しかし、気持ちいだけの勉強法・楽なだけの勉強法が正しいというわけでもない。
長期型の勉強法が非効率なことは上でも書いたけれど、別の勉強法を一例として以下書いていこう。
音楽を聴きながら勉強するというのがある。
高揚感が増すし、一見効率も上がりそうだ。
しかし、グラスコー・カレドニアン大学の実験ではどんなBGMよりも無音の部屋で勉強した方が認知テストの成績が良かったそうなんだ。
(別の実験で、鳥の鳴き声や波のせせらぎなどの自然音はむしろ注意力を上げる効果があると判明している)
このように、『気持ちいい』勉強法は人気が出やすいものの、それが本当に結果を出せるかは全く別の問題だ。
そのあたりに十分注意をして勉強法選ぼう。
科学的に間違っている『あの人の勉強法』
またこれはカシス氏の勉強法に限ったことではない。
東大など優秀な大学を卒業し、お茶の間で知られている先生の勉強法だって、科学的には正しくないことだってあるんだ。
以下、そのケースを2つ紹介する。
一つが、齋藤孝先生の『3色ボールペン法』だ。
齋藤孝先生といえば、『声に出して読みたい日本語』などの著者としても知られる明治大学教授だ。
そんな彼でも、科学的にはどうかと思うような勉強法を編み出している。その最たるものが3色ボールペン法だ。
というのも、齋藤孝先生は大切なところに赤色のボールペンを引くように言っているが、これがよろしくない。
というのも、赤い色を見るとIQと学習意欲が低下するんだ。
赤い色を見ると知能指数が低下する! 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の集中力アップの秘策(13)
にも書かれているのだけれど、赤色を見ると、人間は本能的になり、理性が弱くなる。
なので、文章を理解したいのであれば、主要なところに赤線を引くのは逆効果だといえる。
青ペン学習法というのが流行ったことがあるけれど、僕もそちらの方をオススメするよ。
そしてもう一つ、科学的に間違った主張をしている有名講師がいる。
それが、東進ハイスクールの林修先生だ。
勉強法とは違うのだけれど、彼は「母語の基礎を完成しないまま英語を習っても意味がない」ということをおっしゃっていた。
確かに現代文の先生らしい主張だけれど、これもまた科学的には間違っている。
研究では、マルチリンガルの人は、モノリンガルの人と比べ、認知タスク・社会タスクで高い成績をとり、共感力も高かったのだそう。
なぜ「2カ国語を話す」ことは頭の回転を速くし脳を若いままで保つと言われるのか?
齋藤孝先生や林修先生といった著名な先生でさえ、脳科学的にはマズイこと・脳科学で否定されていることを主張することがあるんだ。
有名な先生だからと言って、彼らのいうことをすべて鵜呑みにするのは間違いだといえるよ。
『科学的勉強法』はなぜ正しいか
科学的勉強法は統計的な正しさが保証されている
上で『科学的』という言葉を何度か使った。
これは、僕自身が「科学的に正しい勉強法をしよう」と主張しているからだ。
しかし、ここでいったん考えてみたい。
なぜ科学的勉強法は正しいのだろうか。
これを考えることは、『あの人の勉強法』で結果が出ない理由と深く関連している。
ここでいう『科学的』というのは、適切な実験をして統計的に正しいと証明されているということだ。
すなわち、何百人・何千人の、いろんなバックグラウンドを持った人にAの方法とBの方法をさせて、その差がどれくらいなのかを計測している。実験者のバイアスなどもなるべく取り除くようにしている。
『Aさんの勉強法』であれば、Aさんのスペックがたまたま優れていた可能性を否定できないのだけれど、こういう科学的データに裏付けられた事実というのは、たくさんの人にさせることで、被験者のスペックの要素を取り除いているんだ。
もちろん、統計の中にはおかしなものもある(日本人が人助けをしないというデータがバズったこともあるが、ああいうアンケート調査は実際のところと大きく異なるケースがあるので注意。詳しくはこちらの記事を読んでください)から注意しなくてはいけないのだけれど、科学の論文を読み、そこに不備がないのであれば、そのデータを信用した方がいいよ。
『科学的勉強法』をどこから学ぶか
とは言っても、忙しい社会人が科学論文を読もうとするのは現実的でない(しかもためになる論文はたいてい英語だ)。
そこで、科学の知識がない、日本語ネイティブな人が科学的に正しい勉強法を得るにはどうすればよいか。
一つは、メンタリストDaiGo氏の書籍を読むこと。
これは、別にDaiGoさんがすべて正しいというわけではない。
DaiGoさんの著書で紹介されている勉強法の9割以上は「自分はこうした」というのではなく、「●●大学の研究では~」と、ちゃんとしたデータに基づくものだ。
DaiGoという知名度と関係なく、その科学的な正しさが保証されているので、僕も彼の著書の多くを購入しているよ。
もう一つ、本を買うのがめんどくさいという人でも大丈夫だ。
なんと、ユーチューブから、無料で科学的に正しい勉強法をえることができる。
勉強法にかかわらず、心理学を中心としたさまざまなデータを紹介しているよ。
もう一つ、ブレイクスルー佐々木という人のチャンネルもオススメしている。
彼は早稲田大学を首席で卒業しているのだけれど、注目すべきはそこではない。
彼の動画の半数以上では、大学等研究機関の実験結果を紹介している。
DaiGo氏やブレイクスルー佐々木氏の動画を見て、『科学的に正しい勉強法』を身に着けるといいと思うよ。
今回はここまでだよ。
皆さんが、科学的に正しい勉強法を身につけ、結果を出せるよう、これからも貢献していくよ(^●ω●^)
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