カワウソが人間界最強の言語を手にする物語

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英検1級の難易度に関するブログへの違和感 一部の英語ブログが実際以上に難易度を高く見せている実態

更新日:

はいどうも、カワウソだよ。

 

ある日、ふと「英検1級 難易度」とGoogleで調べてみたよ。

それで最上位に表示されたブログを読んでみたよ。(2919年9月時点)

それが、英検1級のレベルはどれくらい?英検史上最強の級を徹底解剖というブログだった。

ブログ名は「SCRATCHH CO」というもの。運営者はJINさん。

 

しかし、どうもそのサイトに載っている情報の信ぴょう性が正直怪しいと思ったよ。

一つは、英検1級のレベルそのものに関して

もう一つは、英検1級の合格基準に関してだ。

(合格基準については、のちに撤回されております。JIN様の素早い対応に大変感謝しております)

そのブログの運営者の方は英検1級に合格しているようなんだけれど、どうも英検1級の難易度を実際より高くみせようとしている気がしてたまらないんだ。

 

本当は僕が英検1級二次試験に合格してから発表したかったのだけれど、フェイクニュースを流している現状を看過することはできない。

一応英検1級の一次試験には合格していて、前回(2019年度第1回)リーディングパートは合格者平均を超えているので、少なくとも英検1級の語彙・文章題に関しては言及してもいいと思い、この記事を書くことにするよ。

 

このSCRATCHH CO。明らかな事実誤認と思われる部分がある。英検受験生がこの記事を読むことを考えると、見過ごすわけにはいかないと思い、当記事を書くに至るよ。

もし、「二次試験も受かっていない奴の主張なんて信じられるか」というのであれば、二次試験まできっちり合格しているしまなみブログさんを読むことをオススメするよ。

本来ここで引用すると相手の利益になるのだけれど、あくまでもそのサイトを貶めたいわけでは決してなく、読者の方・英検受験者の方に正しい認識をしてもらいために当記事を投稿いたします。

特に、私が指摘するうちの2つ目に関しましては、客観的に見ても明らかな間違いがありましたので、そこにつきましては迅速に訂正することを望んでおります。

(ブログで批判するだけでなく、実際ブログに問い合わせもしているということをご承知いただければと思います。また、私が以下で挙げました問題点の一つにつきあましてはすでに対処してもらっています。改めてJIN様の迅速な対応に感謝いたします)

 

英検1級の語彙に関する誤解

誤解1.英検1級の語彙レベルはネイティブからするとそんなに高くない

まず、英検1級の語彙に関して。

JUNさんは記事の中でこのように書いている。

 

例えば2017年第2回のテストではこのような問題が出題されました。

The author’s first book is aimed at scholars and covers such ( ) matters as medieval Chinese coins. Next, she wants to write about something that will appeal to a general audience.
1 skittish 2 inclement 3 decrepit 4 arcane

こんな単語は日常生活でもなかなかお目にかかれない単語だらけです

ここに関して、ブログでは英検の難易度をやや誇張しているのではないかと思うんだ。

とはいえ、これはあくまでも自分の感想でしかない。本当に『日常生活で目にかからない』のか、検証していこう。

 

上であげられているskittish,inclement,decrepit,arcaneの4つがどれくらいのレベルなのか、New York Times を利用して推測してみたよ。

NYtimesでこれらの単語を検索するとどれくらいの記事がでたかを調べてみたよ。

(それぞれ、2019/8/24~2019/9/24の1か月間に出された記事の件数)

その結果は、次の通りだ。

skittish 10件

inclement 7件

decrepit 8件

arcane 11件

確かに、1ヶ月の全記事の内10件とか7件とかしか載っていない単語なので、どの英単語もメインで出てくるようなものではないかもしれない

しかし、ネイティブにとってさほど難しい単語というわけではないと思う。

というのも、それぞれの単語がタイトルに入った記事が存在するんだ。

 

A Skittish Recovery

Game 6 Postponed Because of Inclement Weather

Search India Ink SEARCH India’s Decrepit, Unsafe Railways

Arcane and Proud of It

 

僕は新聞を毎日読んでいるけれども、日本語ネイティブの僕が理解できないような単語が入った記事を見たことがない(人名など固有名詞を除いて)。普通の人が一目でわかるのが、日本の新聞記事のタイトルで使われる語彙レベルだ。

社説とかなら、たまに「なんとなくは意味が分かるけどはっきりとはわからないような、普段使わないような単語」もある。しかし、タイトルでそのような語彙が出てくることはまずまいだろう。一目でその意味を理解する必要がある以上、「えっと、面妖……?」のような、変に難しい言葉を使うべきではないだろう。

New York Timesはアメリカのなかでもそこそこの知識層が読むものだと考えても、さすがにネイティブにとって「読めるもの」であることには違いない。商業紙である以上、一定数の人が記事タイトルの意味を理解できるものである必要があるだろう。

僕の主観でしかないことを承知の上書くけれども、『英検1級の単語は日常で目にかかったことがない』という主張は、ちょっとどうなのかなと思うよ。

また、JINさんのブログには以下のように書いてある。

イギリス人に英検1級の語彙問題を解かせてみたことがありますが(もちろんネイティブと言っても個人差ありますのであくまで僕の知り合いの例です)

「分からない難しい単語があったり消去法か雰囲気でしか答えられない問題が多々ある」

と言っていました。

つまりネイティブでも語彙部門の4択問題のうち2つ、3つくらいしか分からない場面があり、4択の内4つ全部知っているような問題は全てではなかったという事です。

 

もちろん、ネイティブにもレベルの高低はあるのは当然なのだけれど、JINさんが言うほど難しい問題ではないと思っているよ。

ちなみに、下の動画では、英検1級の筆記問題でイギリス人の方が41問中39点取得している。

JINさんがブログで触れているイギリス人の友人も「消去法や雰囲気でしか答えられない」と言っていたそうだけれど、逆に言えば、消去法や雰囲気を使えば十分正解できることではないかな。

『日常生活でお目にかからないレベル』というのは、言い過ぎのように思うよ。

 

(追記)

僕の記事を読んで、TIMEやNew York Timesは教養のある人が読むもので、NewsWeekみたいなのを読む人からすると難しいのではないかという意見をツイッターで頂いたよ(現在は削除されている模様)

アメリカは、日本よりはるかに様々な格差が大きい。学力の格差もかなりある。そのため、新聞によって語彙に差が出るのはわりとよくあることだ。

というわけで、NewsWeekでどうなのか、それについても調べてみたよ。

 

英検1級の選択肢で出た4つの単語、NYtimesの記事では30日間で7件とか10件とかでていた。

ではNewsWeekではどうだったか。

2020年2月10日時点で、”skittish”という単語が出ている最新記事は、前年12月31日、実に2か月も前の記事だった。

また、decrepitという単語のある記事は5か月前のものが最新だったし、inclement,arcaneについては検索してもでなかった

 

週刊誌ということを加味しても、NY TimesとNews Weekには語彙の差がある。

そして、News Week をメインのニュース媒体として読んでいてる層からすると、ネイティブであっても英検1級は難しいかもしれない。

検証した結果、JUNさんの『日常生活ではなかなか見られない』というのはある程度正しいと判断するよ。

 

しかし同時に知っておいてほしいのは、News Weekの質だ。

池上彰さんはニューズウィークのある記事について『分析が欠けている』『エジプトは遅れた国だというイメージを著者が持っているということがよくわかる』と皮肉的に書いている。それもニューズウィークの記事で。

HOME コラム Newsweek斜め読み ニューズウィーク的文章表現研究 コラム 池上彰 Newsweek斜め読み ニューズウィーク的文章表現研究

これは日本版の記事でしかないけれども、国際版の質が高くて日本版だけ極めて低質ということは考えにくい。

 

もちろんNewsWeekを読む層も当然ネイティブとして扱われるべきだし、むしろマジョリティなのかもしれないけれど、日本でいうところの『いわゆる大手全国紙よりもスポーツ紙を読む層』に近いという認識はわきまえておこう。(全国紙がクオリティペーパーといえるかの議論はここでは扱わない)

すなわち、ある位程度上級で(日本でいう新聞を読む人程度の)教養がある人からすれば英検1級の単語は楽勝で、スポーツ新聞ばかり読むレベルの人からするとJINさんの主張が正しいのだろうというのが本当のところだと思うよ。

アメリカは日本以上に、教育の格差が大きいから、この差異が生まれても仕方ないのかもしれないね。

 

英検1級の正解率に関する誤解

英検1級一次試験は7割で合格可能

 

上で『誤解』と書いた部分は正直主観的なものだ。

すなわち、「NY timesは上級国民しか読まない雑誌だ」「華音チャンネルに出ているイギリス人は名門大学学生なのでは?」などと反論されたらぐうの音も出ない。

ぶっちゃけ、JINさんが間違っているとははっきり言えない。僕はネイティブ英語話者じゃないし、イギリス人やアメリカ人の友人がいるわけでもない。

 

しかし、以下話す内容は、おそらく反論不可能な「事実」だ

合格率についてだ。

JINさんは、英検1級一次試験は正解率8割が合格基準だと書いている。

 

まず1次試験を通過するためには2550点満点のテストで2030点程度取らなければいけません。

これは問題の約8割を正答しなければいけない計算です、あんな難しい問題を8割正答するのはかなーり至難の業です。

そして2次試験は850点満点中610点ほどがボーダーラインです。

1級の合格率は毎回およそ10%程度、またはそれ以下です、元々英語力のある人ばっかりが受けて10人中9人が落ちている計算です、かなり狭き門だと言って良いでしょう。

 

これは大きな誤解を招く。一刻も早く訂正することを求めるよ。

 

というのも、英検1級の一次試験は、正解率7割で十分合格できるんだ。

 

確かに、CSEスコアにおいては、一次試験の合格基準は2550点中2028点が合格基準。これは79.5%、よそ8割だ。

しかし、このCSEスコア。単純に正解率を表したものではない。

 

僕が初めて英検1級の一次試験に合格した2017年代2回試験の成績を以下書いてくよ。

リーディング 27/41(66%)

リスニング       16/27(59%)

ライティング 26/32 (81%) (注1)

 

正解率(ライティングは得点率)を平均すると、68.7%

なんと、7割にさえ達していない

しかし、英検バンドは2061/2550 (80.8%)、G1+2 (合格ギリギリよりもちょっと上)だ。

ここから、英検バンドの得点率と、実際の得点率は大きく違うことがわかる。

だから、ここをごちゃまぜにして、「英検1級の一次試験には8割必要」と書くのはいかがなものかと思うよ。

 

(注1)英検1級の英作文の得点率について

英検1級では、英作文を『内容』『構成』『語彙』『文法』の4つの観点からそれぞれ8点満点で採点する。

私はこの試験でそれぞれ7点、7点、6点、6点を取得し、その合計が26/32という意味である。

 

英作文は自己採点ができないから、自己採点できたリスニング・リーディングパートに限ればたった62.5%だ。

それでも、合格した。

僕と同じように、リーディング・リスニングの正解率が6割前半だとしても英検1級一次試験に合格している可能性は十分ある。

仮に低い点数が出たとしても、二次試験対策をあきらめては決していけないということをこの場で書いておくよ。

 

 

もし、英検一次試験で正解率7割の人がJINさんのブログを見て「合格基準は8割なのか。じゃあ不合格なんだ……。」と二次試験をあきらめてしまったらどうなるだろうか。

一次試験合格通知が届くのは試験から2週間経ったころ。

この2週間、全く二次試験の練習をしなければ、合格から遠ざかるだろう。実体験で言うけれど、二次試験は長期間の練習が必要となる。2分のスピーチをこしらえるには、1ヶ月、一次試験を受けてすぐには始めたいところだ。

そのような、正解率7割で二次試験対策をあきらめる受験生を一人でもすくなくするために、訂正を懇願します。

 

今回はここまでだよ。

まとめると

・英検1級の語彙の難易度は、ネイティブ基準からすると決して難しくはない

・英検1級一次試験の合格率は7割弱。リスニング・リーディングの平均正解率が6割前半でも一次合格の可能性は十分ある。

 

(追記)

2個目に関しては、JIN様が対応してくれたので、斜線をいれました。

迅速な対応に心より感謝いたします。

 

 

特に2個目の内容については、英検1級の受験者の皆さんには決して誤解してほしくない情報です。

改めてJINさんには、記事の訂正を求めるとともに、私自身この事実誤認を改めるために尽力していきます。

 

 

 

追記 JIN様のブログ記事訂正をうけまして

 

私がJIN氏のブログに問い合わせまして迅速に対応していただきました。

私の確認しましたところ、『8割』から『高い正解率』に変更されていました。

あらためて、すばやい対応に感謝いたします。

今後、具体的に何パーセント取れれば一次試験に突破できるかも書いていただけると、より受験生のためになるのではないかと思っております。

 

 

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