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英語教員の採用に英検準1級は妥当か

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はいどうも、カワウソだよ。

さて、いきなりだけれど、みなさんは学校の英語教育に疑問を抱いたことはないだろうか。

書店に行けば、「学校では習わなかった英語」などとうたっている英語の学習本がたくさんある。

これは、多くの人が学校英語を信頼していないことのあらわれではないかな。

 

しかし、いざそういう本を読んでみると、実は学校で使っていた教科書・参考書と言っていることは変わらないことが多い。

これは、英語のカリキュラムというよりも、授業で習ったのに覚えていないというのが実際のところなのだろう。

 

さらに、そもそも先生の英語力にも問題があることが指摘されているようだ。

たしかに、実際学校の先生がどのくらいの英語力なのか知っている生徒は少ないだろう。先生がTOEIC何点で、英検の何級まで受かっているかを知っている学生はそういない。英語力だけが全てではないけれども、やはり英語ができる先生の方が、難関大学を受験する生徒にとっても都合が良いだろう。

 

そういうことを受けてか、各都道府県の自治体は、教員採用の上で英検などの試験を参考にするようだ。

都で英検準1級以上の教員 2020年までに中65%、高80%

東京都では、新規に採用する英語教員のうち、中学で65%、高校では80%の教員が英検準1級レベルの英語力を所持していることを求めるそうだ。

英検準1級というと結構大変そうに思えるけれど、東京都としては、中学英語教師の半数以上、高校教師に至っては8割に、この英検準1級を取ってほしいそうだ。

果たして、このレベルは本当に妥当なのか考えていこう。

 

英語教師の英語力の実態

高校英語教員のうち英検準1級は6割以上

まずは、今の教師の英語力の実態からみていこう。

文部科学省は、生徒と教員の英語力を毎年調査している。

 

その中で、平成29年度、外部試験でB2(英検準1級・TOEIC730レベル)以上のスキルを所持している高校英語教師は全体の65.4%

この数字は毎年増加している。先生が頑張っているのもあるだろうし、そもそも能力はあったが外部試験を受験していなかった人もいたのだろう。

そういう人が今後英検などをうけた場合、この数値はますます上がってくるだろう。

(参考:平成29年度「英語教育実施状況調査」の結果について 高等学校 )

 

なお、中学教員では、この値はわずか33.6%となっている。やはりというか、高校ほど専門的な力はないね。

(参考:平成29年度「英語教育実施状況調査」の結果について 中学校

 

これはあくまでも全国平均の値だ。

東京都だけで計測すると、もう少し高い値になると思う。

とはいえ、都や各自治体が理想とする水準に達しているか非常に怪しいのが現状のようだね。

 

教員の水準に英検準1級は妥当か

英検準1級レベルは取れて当たり前

さて、中高の英語教員が英検準1級レベルの英語力をもつ必要性を考えていこう。

結論から言うと、僕は、少なくとも高校教師には英検準1級レベルの英語力は絶対必要だと考えているよ。

 

まず、B2(英検準1級)レベルは頑張ればできるというレベルなんだ。

英検準1級は、そんなに難しいものではないと思う。

実際、英検の公式サイトでは以下のように書いている。

準1級は、最終目標である1級の手前まで着実に力をつけているレベルで、およそ大学中級程度とされています。社会生活で求められる英語を十分理解し、また 使用できることが求められます

(太字は記事投稿者による)

英検側は、準1級を『大学中級程度』とかいている。

この言葉が真に何を意味しているかはわからないけれど、英語力が平均程度の大学生、英語を専門としない大学生ならとっておいてほしいということじゃないかな。僕はそういう風に読んでいるよ。

 

実際、過去問を見た感じでは、単語・文章のレベルは慶應や東大の入試英語と同程度だと感じたよ。実際、三兄弟を灘高から東大理科三類に送り込んだことで有名となったお母さんも、英検準1級をなんども受けさせたそうだよ。

逆に言えば、英検準1級レベルの英語力をもたない教員は、生徒に東大や慶應の問題を問われても、満足のいく答えができないおそれがある。

 

生徒が難関大志望でかつ塾に行く余裕が無い場合、頼れるのは先生だけだろう。

その先生が、難関大学の問題を解けないとなると、その生徒は本来の実力を、教師の知識のなさのせいで伸ばせなくなるかもしれない。

それはあまりにも可哀そうだ。

準1級レベル80%という数字は一見大きいけれど、公立高校で英語教師が平均3人とか4人とかだということを考えると、そのくらいの割合でないと、十分な英語力を持つ先生が一人も存在しない学校が出てきてしまうおそれがある。

そういったトラブルを防ぐためにも、高校の英語教師の8割がB2レベルの英語力をもつというのは、極めて当然のことなのではないかな。

 

中学校教員の65%がB2を必要とする理由

ただし、それで考えると、なぜ中学の英語教師の65%にも英検準1級レベルの英語力が求められているのかは疑問に思う。

僕も、少なくとも高校入試のレベルを考えた時、その理由は思いつかない。名門私立高校であってもせいぜい2級レベルあれば十分だろう。

 

では、なぜ中学校教員にもB2レベルが求められるか。

考えられるのは、ALTの授業で、ネイティブの英語教師と協力して授業を進める時だ。

 

先生が、外国人の言っていることを聞き取れないようでは、授業に支障が出る。

英検準1級の問題を読む限り、これくらいの文章や会話が聞き取れなければ、さすがにALTの先生とまともに話すのは難しいだろう。ALTに「こいつ、本当に英語の先生なのか?」と半ばバカにされるかもしれない。

そこを考えると、学校の英語教師のうち最低1人以上はB2レベルであってほしい。

65%という数字は、このあたりが絡んでいるのではないかと推測しているよ。

ある、地方の英語塾のブログでは、「英検準1なんて簡単だ」という主張ばかりで、なぜ英検準一級レベルが教師に必要か一切かかれていなかったので、僕のブログではそのあたりを詳しく考えてみたよ。

 

問題は英語力ではない、教員の賃金だ。

英検準1級レベルを欲しがるなら教員の賃金をあげよう

さて、ココからが本題だ。

なぜ、高校英語教師、あるいは中学校教師の中に、B2レベルの英語力を持つ人が少ないのだろうか。

僕は、日本人の英語力とか、そういうものと別のところに答えがあるのではないかと思っている。

というのも、英検準1級レベルの英語力の人は全国にごまんといるんだ。

 

英検準1級や1級・TOEIC900点レベルの人は、全国規模で見ると少なくない。

英検は、2016年度以降、級ごとの合格者数を公表していないけれど、English Naviによれば、英検準1級の合格者数は毎年10,000人程度。

一方、文科省によれば、平成29年新しく採用された高校教師数は4,827人。英語教員の数はわからないけれど、そのうちの5分の1と考えると約1,000人となる。

ここから考えると、英検準1級合格者の10人に一人が教員を希望すれば、少なくとも英語力に関しては、文科省の目標を余裕でクリアできる

では、なぜ英検準1級保持者が教員になろうとしないのか。

 

思うに、B2レベルの英語力があれば教員よりも割のいい仕事があるからではないかな。

ニュースなどでも話題となるけれど、現在、学校の先生は忙しい

たしかに給料は安定しているかもしれないけれど、部活動の顧問を無給でさせられたり、モンスターペアレントの苦情を受けたりと、授業以外のことが多すぎる。

もちろん教師は授業以外のことも大切だけれど、だったらなおさら、給料を良くしたり、あるいは部活動を民間に任せたりなどの待遇改善が必要なのではないかな。

もし、英語教師の待遇が今よりも良くなれば、英検準一級・一級レベルの英語力を持つ人々が、よりいっそう教員になりたがるのではないかな。

 

公務員だからといって高賃金・安定した仕事状態というのがマスコミによって非難されることがおおいけれど、給料をさげるのではなくて、今以上に(英語に限らず)専門知識を持った人を今以上に好条件でやった方が、教育としては効果的なのではないか。僕はそう思うよ。

もちろん、単に個人の英語運用能力だけではなく、教える力の養成は当然必要だけれどね。

一部の英語塾教師とか、あるいは文部科学省のお偉いさんとかは、英語教員の『英語力』にだけ目が行ってしまっているようだ。むしろ、英語力のある人がなぜ教員にならないのかを考えたほうが手っ取り早いのではないかと思うよ。

 

今回はここまでだよ。

将来、英語教員の英語力が上がることを期待しているよ(^●ω●^)

 

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